孤児院の思い出

ニベアクリーム


【孤児院の思い出】

このニベアクリームの青い平べったい缶をみると、子供のころの懐かしい記憶がよみがえる。

わたしがお世話になった孤児院は、母体が仏教系だったこともあってか躾には厳しかった。
園での組み分けは縦割りで、2歳〜12歳までの園児が各一人づつ、8人くらいで組み分けされていた。組み分けされた子供たちは同じ部屋で寝泊まりをした。
小さい子はお兄さんお姉さんの行動から学び、大きい子は小さい子の面倒を見ていた。

朝は早起きで、冬にはまだ外が暗かったから5時か6時くらいだったろうか。
子供たちは起きると、まず自分の寝ていた布団をたたんで押し入れにしまう。そして着替えたり、顔を洗ったりして身支度を整えると、掃除の時間。
掃き掃除、拭き掃除をみんなでやる。小さい子も大きい子も分け隔てなく、一緒に掃除をする。

園には長い廊下が何本かあった。
子供たちは、しぼった雑巾を手に、長い廊下に四つん這いになってまっすぐ雑巾がけをする。
みんなでやるから駆けっこのような遊びの延長で、けっこう楽しんでやっていた。

つらかったのは冬で、床は冷たいし、冬の朝の冷たい水で雑巾をすすいだりしぼったりするのはなかなか大変だったことを覚えている。

雑巾がけが終わると子供たちは廊下に一列に並び、片手を前に差し出して待つ。
ズラリと並んだ子供の手に、先生がニベアクリームをちょこん、ちょこんと塗ってくれる。先生が手の甲に乗せてくれたクリームをくるくると伸ばしながら、みんな嬉しそうだった。
ほのかに甘いようなあの香りを思い出すたびに、なつかしさで胸がしめつけられる。

自分のことは自分でやらなければならなかった園の生活の中で、先生が手にクリームを乗せてくれるあの瞬間だけは、自分のために、自分のためだけにしてくれていることで、たった一瞬だけど、先生という母の代役を独占したような気持ちになって、なんとなく誇らしい気持ちになった。


この青い缶に詰まった私の思い出です。

2013年09月29日 *23:33│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by あいき   2013年09月30日 08:21
すごく、ジンと来ました。頭の中に光景が浮かんできて。
…うまく表現出来ないんですが。
過去のひるねさんが積み重なって、今のひるねさんを形作っている…その大切な過去の一部ですね。
2. Posted by まいまい   2013年09月30日 14:30
胸がつまります。
でも、孤児院の先生って、自分の愛を分けて歩く聖母のようなところ、あるかもしれない…。
現実はそんなきれいなものではないけれど、子どもたちにとってはホームなのだから。
先生もきっとその瞬間、ひるねさんだけのものだったに違いないって思います。

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