絵が笑うとき

4月2日から始まった高島屋出店も今日が最終日。
始まる前は、新しい出会いにワクワクしながらも、消費税率があがった直後だから今回は苦戦するかしら、高島屋の売上げに貢献できるかしら。ちょっと心配にもなりました。

店頭でお客様と直に接しているひげおじさんの話では、たしかにいつもよりはお客様が少なく感じるそうです。
けれどさすがは高島屋、目の肥えた方が多く来店されます。

「こんなお客様がいらしたよ」
「○○って感想をいただいたよ」

ひげおじさんからの店頭レポートを聞かせてもらっていると、高島屋へ来られる方は『きちんと創ったものは、きちんと評価してくれる』そんなお客様が多いように思えます。


今回の高島屋出店でも、絵が嫁いでいっています。
原画を迎えてくださったかたもありました。
うれしいことです。


絵が笑うとき




絵を販売するようになって何年か経ちました。
デザインフェスタやクリエータズマーケットのようなイベントで初めて絵を販売したときはドキドキしました。
「今まではメモだのボールペンだのグッズしかなかったけれど、ラスポンチャスの世界を閉じ込めた絵は、昔からのファンの人にきっと喜んでもらえるだろう!」
ワクワクしました。
けれど、そうしたイベントでは絵はほとんど売れず、何人かの、ほんの数えるほどの方にとどまりました。

いまだから言えることですが、正直ショックでした。
みんなはラスポンチャスの世界じゃなく、メモだのボールペンだのの『実用品』を買ってくれてただけなのか? なんて考えたりもしました。

デザフェスやクリマのようなイベントは、『創られたもの』に対して意識の高い人が来場されるのだと思っていたので、絵が評価されないということは、私の技術や技量が足りないのかもしれない、と落ち込んだりもしました。




先日、街へ出たときに、パン屋さんに入りました。
初めて入ったお店。

たなに並べられたパン達をみて、『あ、パンが笑っている!』と感じました。
「こんにちは!」
「こんにちは!!」
「わたしはとっても美味しいですよ!」
「ねぇねぇ、わたしを味わってみませんか?」
「僕は見た目は悪いかもしれないけれど、味はすごくいいんですよ。僕にしませんか!」
「きゃははは!」
パン達がなんだかとても楽しそうなのです。

そのときにピカーンとひらめきました。
『作品でも、笑うときと笑わないときがあるのかもしれない……。』



高島屋の店頭では、ラスポンチャスの絵が笑っているのだと思います。
ポンチャの絵が楽しそうに笑いながら、人々に話しかけているんだと思います。

「おばさま、こんにちは! そんなに急ぎ足だと転んじゃうよ。ちょっと休みませんか?」
「うふふふふ、私たち、こうして絵のなかで動かずにいるけれど、あなたのこと見つめているんだよ!」
「あなたのおうちにピアノがあるなら、夜中に少し弾かせてね」

そんな風に笑っているのだと思います。

そんな風にして出会ってくれた方に選んでもらって、連れてかえってもらったり、贈り物として使者になったりした絵は、そこでもきっと笑っていると思います。



どんなに思いをこめて描いた作品でも、環境によっては笑わない(笑えない)のかもしれませんね。
今回の高島屋出店で、そんなことに気づきました。



2014年04月08日 *00:23│Comments(3)

この記事へのコメント

1. Posted by まいまい   2014年04月08日 12:00
すべてのものに命はある。
私もそう思っています。
あの時、歩道橋で出会ったハガキやレターセットは、私に笑って声をかけてくれました。
ひるねさんはひるねさんでいいのです♪
2. Posted by トキノ   2014年04月08日 18:58
ひるねさん、私はタイミングもあると思います。
三食食べるお金にも苦心していた頃なら、私はボールペンを買ってると思います。そしてそこに描かれたポンチャを見て笑顔になってます。

直筆の絵はすごく素敵で、手に入れることが出来た環境に感謝しています。

ボールペンだからじゃなくてポンチャが描かれたボールペンだから買いたくなるんですよ。
どーんと自信持って下さいね(^^)
3. Posted by ひるね   2014年04月09日 23:12
大きな会場のイベントは、会場内にいろんな思惑や雑念がうずまきすぎていて、絵画作品が萎縮しているのかもしれません。
絵画に目が向かない方が多いように感じます。
絵をゆっくり鑑賞できる場(個展のような)を作りたいと、以前より強く思うようになりました。

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このブログは「ひるね」が書いています。

ラスポンチャスというキャラクターの作家をしていた2015年10月。絵本の取材のために入った山でアカゲラに出会ったのがきっかけで野鳥のとりこになり、それからというもの鳥の絵ばかり描いています。

「野鳥生活」という名前で百貨店などに出店しています。



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ひるね

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東京都武蔵野市

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